急に4月を思わせる温かい日が続いています。今日はいよいよ土間の三和土づくりです。「三和土」と書いて「たたき」と読みます。まずは,前日の土づくりの模様から。荒壁で塗っていただいた土と同じの益子桜土に,生石灰と水を混ぜて耕耘機でひたすら混ぜ合わせます。写真の煙は土煙ではなくて「湯気」です。これを熱化学方程式で書くと,CaO + H2O = Ca(OH)2 + 65.2kJ となり,炭の燃焼による熱量の約6分の1に相当します。これからも,かなりの高温になるとが分かると思います。同時に,土中に水酸化カルシウムいわゆる消石灰が生成され,アルカリ材として土に作用し,ゆっくりと時間をかけて硬化していきます(ポゾラン反応というらしい・・・)。消石灰は空気中の二酸化炭素と反応して炭酸カルシウムとなるわけです。二酸化炭素を吸収する三和土の思想は環境配慮型ですよね。それなら,生石灰ではなくて最初から消石灰でいいじゃないという意見もあり,実際には消石灰でやる方が多いと白石さんがおっしゃっていました。でも,日本の粘土の多くは火山性で,水分がとても多いので石灰安定処理が有効という記事も数多くネットで見つかります。また,湿度が多い日本家屋ではカビ対策も重要です。消石灰の反応熱による殺菌効果も少しはあるのではと素人的に考えてします。いずれにしても,土+消石灰に凝固剤として「にがり」(塩化マグネシウムが主成分)を混ぜることから「三和」と書きます。
ワークショップ当日。朝から花粉が舞い散る春日となりました。現場につくと土づくりが既に終わろうとしていました。
この土をまずはバケツリレーで土間に運びます。今回は8人の親父が助っ人として参加くださいました。さすがに,あっという間に土運びは完了。ここからは,竹垣づくりと2班にわかれて作業をしました。まずは,外周から足で踏んで行きます。いきなり叩くのではなく「ゆっくり」とです。ふかふかした何とも言えない心地が足裏に伝わってきました。
踏み固めた後は,しばらく素人は見学。外周のレベルをコテだけで職人さんが出していきます。いつも思うのですが,左匠の水平感覚はすごいです。べつに水平器をもって作業するわけではありませんが,なんとも心地よい水平が出来上がっていきます。でも,物理的に水平なのが水辺と感じるわけではないようです。とくに土壁は少し丸みをつけた方が平に見えるのだそうです。
周囲のレベルがでたら全体をならして行きます。
そして,いよいよ力仕事。これもいきなり強く叩かないで,地道にゆっくりと叩く方が全体がしまっていくようで,力任せに叩くと,ぶよぶよの土間になってしまうようです。「べたん,ぺたん」と何とも心地よい音が土間ホールに響いていました。

竹垣づくりも午前中で水平側の竹括りが終了しました。午後は縦に竹を固定していきます。とりあえずは,春先に運び出しておいた竹を利用しての経費削減対策?です。でも,スチールの金網フェンスに比べると風情があっていいですね。
ご覧のように,素人が叩いた後に職人さんに修正いただき,本当に光沢のある三和土土間が素敵です。この日も解散後に,玄関の三和土を職人さんが手直しをして仕上げていらっしゃいました。ワークショップとはいつだって二度手間です。でも,このプロセスを支援してくださる方々に本当に感謝する次第です。白石左匠の皆様ありがとうございました。
【おまけ】
三和土土間づくりの臨場感をお伝え出来ればということで,ムービーファイルをアップしておきます。下記の画像をクリックしてご覧下さい。携帯端末用に作成していますので低画質となっています。

三和土土間づくりの臨場感をお伝え出来ればということで,ムービーファイルをアップしておきます。下記の画像をクリックしてご覧下さい。携帯端末用に作成していますので低画質となっています。

後は,卒園証書の台紙となる和紙を染めるのですが,これは私とさわちゃんの思いを込めて染め上げたいと思っています。和紙を染める準備となる糊引きは大空にやってもらう予定です。和紙を染める日まで,大切な藍をぐっと身近に感じて撹拌してくれたらなと思っています。今日も染める前に藍の神様に「きれいに染まりますように」とお願いし,そして終わった後に「ありがとう」と気持ちを伝えました。発酵菌の力を借りて藍染を実現しているわけですが,今年の大空からは「あの子」と呼ばれています。目に見えない存在を神に称えて畏敬の念を表わすという自然観。そんなアニミズム的な感覚をこれからも大切にしたいと考えています。

見る位置からも表情が変わります。均質なことを良しとする世の中ですが,職人仕事のよさは少し違う気がします。もちろん,平たく均一に塗るのも技術ですが,自然素材がゆえに含まれる不均一性が,人の感性の深いところで共鳴するからこそ,私は土壁に囲まれていると落ち着くのだと考えています。どんな感覚をみなさんに感じていただけるのか・・・春が待ち遠しいです。

次に,保育室の吹き抜けの部分から1枚。色の違いは乾燥具合によるものです。塗ったばかりは赤みが強いのですが,乾いてくると左側のように薄いピンク系の色になってきます。ペンキと違って多少のムラが温か味を演出してくれます。
今日の現場には50人の様々な職人が出入りしていたと現場監督から聞きました。あと工期は1ヶ月です。外装がほぼ終わりに近づき,足場も外されてきています。土間ホールの舞台の背面の昇り壁も姿を現してきました。ここは,赤い顔料を使った現代大津磨きの仕上げになる予定です。十分に乾燥した後,皆さんと一緒に磨きたいと考えている部分で,ここも成長していく壁になります。土の文化の奥深さを堪能して欲しいと考えています。白石左匠の職人さんには工期が押している中最もご苦労をかけますが,きっと素晴らしいものを残してくださるでしょう。